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2006/01/09

ONLINEのテスト稿その1

ONLINE 」、放置しまくりですみません。書いてはいるんですが、どうにも…… orz

お詫びとして、没フォルダに溜まりまくってるテスト稿を、ここで公開。だからどうしたというわけでもないんですが、試行錯誤の一端を見ていただければ(汗



「いい加減にしろ!」
 迷宮のT字路に着くなり、ショウはザザザッと石畳を削りながら急制動をかけた。灰色の石壁が間近に迫る。
「くそっ――」
 右の前蹴り。
 壁を蹴る反動で速度を殺し、向きも変える。
 真紅の光弾が三つも迫りつつあった。
「――マジで怒るぞ!」
 ショウはシャツの左ポケットから一枚のカードを取り出した。
 素材はプラスチック。
 背面には宝石をはめ込んだ石版のプリント。
 表面には様々な記号と絵柄。
 右上には青く塗りつぶされた星が五つ左上には白く縁取られた『{ルビ:海神の三又槍|トライデント・オブ・オーシャンソウル}』の文字。上半分には、ギリシア文字の{ルビ:Ψ|サイ}を思わせる矛先を持った槍が、海中から上を見上げているような背景の中に描き込まれている。下半分には次の文章――

◎アイテムカード『{ルビ:海神の三又槍|トライデント・オブ・オーシャンソウル}』
 {ルビ:海神|オーシャンソウル}の魂を宿した{ルビ:詠唱機|キャスター}。二十四個の{ルビ:神具|ソウルウェポン}のひとつでもある。『青の陣営』のアバターが装備すると、様々な能力が……?

 ショウは叫んだ。
「{ルビ:呪布展開|オープンカード}! 『{ルビ:海神の三又槍|トライデント・オブ・オーシャンソウル}』!」
 刹那、カードは青い輝きを放ちながらシュバッと描き込まれていた刃を持たない三又槍へと変貌した。長さは約二メートル。全体が濃い藍色の金属で形作られた呪杖というべき槍だった。
「{ルビ:詠唱|セット}――」
 瞬間、彼の視界の中にシステム情報が出現した。
 視線と連動した丸い照準。
 顔を基準に展開した、照準可動範囲を示す円。
 左上には『SHOW』という{ルビ:外装名|アバターネーム}が大きく記され、その下に{ルビ:陣営名|グループカラー}、セット中の{ルビ:特性|アビリティ}、現在の所持金、装備判定になっているアイテムの名前が列挙されている。
 左下には残り{ルビ:生命力|LP}と{ルビ:魔法力|MP}。横に伸びるバーのうちMPは全快に限りなく近い緑色をしているが、LPは半分以下にまで減った黄色へと変わっていた。
 赤い光弾が迫る。
 ショウは思考操作でスペルを起動しにかかった。
(<{ルビ:蒼の盾|ブルーシールド}>、照準、設定!)
 右上に水滴を意匠化したアイコンが現れ、その下に<{ルビ:蒼の盾|ブルーシールド}>という文字が現れた。同時に、丸に十字が描かれた照準は、シュルッと回転しつつ広がり、想定される<{ルビ:蒼の盾|ブルーシールド}>の姿をワイヤーフレームで表示する。本来であれば、その状態を確認してから起動させるべきだが、今はその余裕が無かった。
「――{ルビ:起動|スタート}!」
 ショウはスペルを起動した。
 刹那、彼の眼前にシュワッと中心から広がるようにして青い光の膜が出現する。厚さはわずか一センチ程度だが、半透明の青い膜は、一瞬にして通路いぱいになるまで広がっていった。
 そこに赤い光弾が激突する。
 爆音が轟き、衝撃波がショウの躰を揺さぶった。
 だが、痛くはない。
 熱くもない。
 {ルビ:抵抗|レジスト}に成功した証拠だ。
 これにはショウ自身、半ば呆れつつ驚いていた。
「さすが{ルビ:伝説級|レジェンダリィ・クラス}……」
 もともと<{ルビ:蒼の盾|ブルーシールド}>はゲームスタート時から使用できるデフォルトスペルのひとつだ。もうひとつは氷結弾を撃ち出す<{ルビ:蒼の衝撃|ブルーインパクト}>。効果はいずれも、{ルビ:詠唱機|キャスター}の性能に比例する。
 ついさきほどまで使っていた{ルビ:普遍級|コモン・クラス}の{ルビ:詠唱機|キャスター}――ショウは杖型を選んでいた――では、ザッと直径五十センチ前後の盾しか作れなかった。ところがどうだ。『{ルビ:海神の三又槍|トライデント・オブ・オーシャンソウル}』は五十センチどころか、直径三メートルはあろうかという巨大な障壁を生み出している。
(血眼になるわけだ――って、おい!)
 さらなる赤い光弾が迫っていた。
 火炎弾を放つ<{ルビ:赤の衝撃|レッドインパクト}>だ。
 衝撃を感じながら、ショウは視界の右側を一瞥した。そこには縦方向にゲージが新たに出現している。<{ルビ:蒼の盾|ブルーシールド}>の強度を表すゲージだ。それが見ている間にも緑色から黄色、黄色から赤へと変わっていった。どうやら向こうが力押しでどうにかしようと思っているらしい。
「――くそっ!」
 ショウは左右に目を向け、迷うことなく、白い光が見えた右側に向かって走り出した。
 迷宮内は通路に点々と灯る松明で照らし出されている。向かう先に見える光は、そんな松明による橙色の輝きとは違っていた。
 外だ。記憶が確かなら、海に突き出た部分――おそらくテラスのような場所――に出るはずだ。
(逃げ切ってやる!)
 多勢に無勢。
 ついでにこっちは初心者。向こうは熟練者だ。
 思考操作だけは早々と身に付けられたが、所有しているカードの量と質は段違いもいいところ。一対一で戦っても勝てる相手ではない。だったら三十六計、逃げるにしかずだ。
「待ちやがれ!」
 後ろから怒鳴り声が聞こえてきた。
 直後、パリンという硝子の砕ける音が響いた。とうとう<{ルビ:蒼の盾|ブルーシールド}>が壊れたらしい。見ると視界の右側には「{ルビ:消滅|ロスト}」の文字が点滅。スペル情報がフェードアウトしていった。
「てめぇにはもったいねぇんだよ!」
「逃げられると思ってんのか!」
「待てやごるぁ!」
 声は全部で四つ。
 それにしても――人間っていうやつは、こういう時には悪人声を出せる生き物らしい。いや、ここが仮想現実世界だからだろうか? それにしても、悪漢が悪漢らしい振る舞いをしてくれるというのは、こっちとしても清々しい気持ちで反発できるので、実に気持ちいい。
「誰がおまえらなんかに――」
 つかまるかよ、と続けたかったが、できなかった。
 ちょうどまぶしい陽光に照らし出された迷宮の外へと飛び出したせいだ。
 ついでに、躰が浮いていた。
 もとい。
 足が何も踏んでいなかった。
(――はい?)
 記憶通り、そこは海に突き出ている場所だった。
 ただ、テラスが無かった。
 真下は青い海。
 上は青空。
 ざっぱーんという波の音が響いた。
「はい――っ!?」
 情けない声を張り上げながら、ショウは真っ逆さまに海へと落ちていった。着水の衝撃と混乱は、実在現実のそれとまったく同じだった。




 これはDLの続編として初めようとした Nightmare Labyrinth の執筆中に書き出したものです。ホットスタート→日常→ゲーム説明→発端の事件という流れを想定していました。

 ショウ(SHOW)くんはシン(SHIN)の原型ですが、表層的なところは全然違っています(リアルでは根暗、ゲームでは愉快犯的なゲーマー)。あと、ヒロインはいない話でもありました。

 ゲームシステムは「 ONLINE 」の原型そのもの。ただ、カードを使うことにギミック的な焦点が置かれていました。

 これを書きながら頭の中でプロットを作り……(その2につづく)
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