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2008/06/10

雷句訴訟に関連してライトノベル系の話を

 土曜日ではありませんが、話題がなま暖かいうちに「雷句訴訟」(虹屋が勝手に命名)に関連して、「ライトノベル系ではどうか?」ということについて少々。





 大手だと角●系で仕事をしたことがあるのですが、その際の印象からすると「秋田書店の如し」です。

 そもそも小説関係はライトノベル系でも、漫画以上に作者の才覚・力量・感性が問われてしまう分野です。そのせいか、いわゆるノベライズ物(版権物)であろうとも、作者側のフリーダムな部分を出版社側が理解してくれ、メーカーサイドを説得してくれることが大半です。おそらく「文句があるならおまえが書け!」と言いやすいメディアだからこその現状かもしれません(苦笑)。

 実際、版権仕事をやってみると、問題が生じる場所というのが、小説というものをわかっていないメーカーサイド(特に中小のエロゲーメーカー)か作者本人( orz )であることが圧倒的に多く、マルチメディア展開を前提にしている場合なんかには、そりゃもう、あちこちに頭を下げまくりながら少ない予算で絵の手配とかデザインとか売り方とか考えなきゃならない編集さんのご苦労は……あの時は申し訳ありませんでした orz でも何度か再版がかかるレベルにはなりましたし、悪くなかったですよね? よね?(汗)

 ああ、そうそう。「すべて一人でやれる」という点も漫画とは大きく違いますね。

 漫画の場合、週刊連載などになると、どうしてもアシスタントが必要になります。この業界、小説も漫画も印税(基本10%。版権仕事になると基本5%。編プロ所属だと固定給+基本1%分のボーナス)は後払い(会社によって経理の締め日が違うものの、基本は入稿から2~4ヶ月後と思えば間違いない)が基本ですから、制作中のアシ代は、印税が入るまで、自分で肩代わりするしかありません。一方、小説は常に一人です。孤独です。違う意味で辛いです。しかし、必要なのは自分自身の生活費のみ。つまりまあ、いざとなれば切りつめるだけ切りつめて、1日2食の「パスタ+レトルトカレー」を1ヶ月続けても、どうにかなるわけです(その後の体調は…… orz )。

 そのため、仮に編集から圧力らしきものがかかろうとも、経済的な問題は漫画家に比べると大したことがなくなります。というか、兼業作家が当たり前のようにいるのが文芸界。お金の問題で圧力を加えるという芸当、最初から「なにそれ?」という感じと言いましょうか、たとえそれをやられ極貧もネタになるのが文芸の世界でして(笑)。

 というわけで、ライトノベル系の編集さんは、どちらかといえばクールです。たまに熱い人もいますが、作者を罵倒したり、テンションを落としたりするような馬鹿は、ごく一部にしかいません。圧倒的大多数が「あのぉ、〆切まで×日ですけど、大丈夫ですよね?」という誰もがイメージするような方々です。このあたりは虹屋が保証します。間違いありません。漫画ほど売れていないから、そういう「好きでやってる人」や「仕事としてやっているプロ」しか残らないのも当然といえば当然、という話もありますが。

 一方、漫画とゲームは、惨いです。

 あえてゲーム業界についても書きますが、漫画業界にしろゲーム業界にしろ、大手になればなるほど、プロとしての信念も気概も常識も礼節も持ち合わせていない人が、かなりいます。そもそも「仲介商売」であるということを理解していない人が多すぎます。

 漫画の出版社、ゲームの販売会社など、作り手と受け手を仲介する会社というのは、物流でいう卸し問屋そのものです。漫画家やゲームの製作サイドは、ある意味、農家などと一緒。そのうえで考えてください。もし卸し問屋が保身に走ったり、高圧的な態度に出ると、農家はどう思うでしょうか? それでも良質の作物を作ろうと頑張れるでしょうか?

 無理な話です。漫画に限定すれば、今や掲載できる雑誌は掃いて捨てるほどあります。しかも読者は目は肥えており、漫画を読む主要層はすべからくネットにおける口コミ評判も気にします。すなわち、ネット(主要な読者)で受け入れられるような作品さえ描ければ、どんな雑誌で連載しようと、必ず誰かの目にとまり、そこからブレイクする可能性が生まれているのです。

 しかもAmazonに代表されるネット通販という形で、これまで絵本などの専売特許だったロングテール狙いのビジネスモデル(短期的な利益ではなく長期間にわたって細々と売れ続けるというモデル)が、およそ全ての書籍に適用できる時代になりました。

「そんなもん、圧力かければ一発だろ!」

 という言葉を聞いたことがあります(リアルで。詳細はノーコメントということで)。

 アホです。他社と問題を起こした作り手でも、売れる作品を描くと見込めば、他社が確実に声をかけます。無論、創作物はどんなメディアであろうとギャンブル的な側面がありますから、既作でヒットした人が、次に必ずヒットを出せるとは限りません。しかし、プロとして、ビジネスとしてクリエイティブな業界に関係している人は、ヒットしか考えない、あなたのような山師とは別なのです。

 アベレージ。

 本当のプロは、これにも注意を払います。少なくとも、虹屋が出会ったことのある「プロの編集」は、一方でヒットを出す作品を作ろうとしますが、同時に採算分岐点を厳密に想定し、たとえ失敗しても「棚を増やせる」よう考えていました。

 その上で、決して作り手のテンションを下げるようなことは言わない。どんな無茶を言われても譲れないところは譲らず、譲れるところはうまく譲る。自分が「パイプ」であることを自覚し、取り替えが利くことも熟知したうえで、より多くの蛇口につなげられることに、プロとしての達成感を見いだせる人たち。それが「プロの編集」。虹屋は幸運にも、そういう方々と仕事をする機会に恵まれまくったおかげで、こうして業界の底辺にいながらも、仕事を続けようという気概を保てています。

 つまり何を言いたいかといえば。

 ライトノベル系は大丈夫です。ライトノベル系の編集さんは、こちら側に信頼する気持ちがあれば、ほぼ間違いなく応えてくれる方々ばかりです。同じ小●館系でも、ガ●ガ文庫とかル●ル文庫とかも、編集さんは百戦錬磨の傭兵(契約社員)が中心ですから、ビジネスとして割り切った関係を構築しやすいと思います(という話をチラッと聞いています)。

 ということを言いたいがための長文でした。

 それにつけても……たまにイラストレーターさんから聞こえてくる諸々の噂、この様子だと全部本当のことだったりするのかな? だとすると、秋田書店のフリーダムぶりは(良い意味で)異常すぎ。あと、青心社士郎正宗氏の異常すぎる関係というか(笑) ほんと、信頼しすぎて空気みたいな関係になれる出版社と漫画家の出会いって、奇蹟なんだなぁ……。
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雑記 | Comments(3) | Trackback(0)
Comment
このような問題に無知であった自分が恥ずかしい……
虹屋さんのおかげで、またひとつ賢くなれました。

ライトノベル系は大丈夫か……でも、これは創作系の職業全体の問題ですよね。
漫画やゲームという一例が馬鹿にされている以上、それがラノベ業界にいつ舞い込んできてもおかしくないわけですし。
この問題をもっといろんな人に知ってもらいたいものです……
ライトノベル系は大丈夫ですか?
私のよく読んでいた富士見ファンタジアの気象精霊記シリーズは、編集さんのミスで
ダメになりましたけど…
No title
なんとなくブログのテンプレートを新しいものに変えてみました(読みづらいです><という指摘が随分前にあったことを思い出したので、とりあえず暫定的に今のものに)。

>>金さん&774さん
極論を言えば「どこにでもダメな人はいる」ものです。ただ、その人も好きこのんでダメになったわけではなく、ダメになった理由・経緯というものが必ずあります。しかも「こうすれば改善できる」と言えるほど単純な理由・経緯でないことのほうが大半。だからまあ、今回は「小学館の週刊漫画系編集部」に改善が極めて困難な問題が存在している、ということを認識するだけで良いと思います(他社にもダメな編集もいますが、小学館にも虹屋感覚でいう「編集のプロ」がいらっしゃいますし)。

そして今のところ、ラノベ業界にはサンデー編集部ほど惨い人は「極めて稀」という状態ですが、それもこれも、ラノベ以前の文芸界で紆余曲折があったからこそではないかと思っています(そもそも日本の文壇も生まれた当初、特に現在は文豪と称される方々の時代には、漫画と同じ低俗なものとされていましたし)。

それで、まぁ、某匿名掲示板(バレバレやんw)で「ラノベはどうなん?」という書き込みがチラホラ見えたので、つい、自分の知り得る限りのことは、ここに書いておこうかと思い、一気呵成に書き上げたのが本エントリーだったりします。

どんな業種にもプロとダメな人はいるもの。それは大前提としたうえで、「程度の問題」として、この騒動を把握しておくのが一番なのかもしれません。

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